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バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

ラマダーンの月、ろくな食事ができない

               ≪九月十八日≫       ―壱―

  ”ドスン!ガタン!!”
 この大音響とともに、激しい激痛が襲った。
 この俺が、ベッドから滑り落ちた上、ベッドの下に捨て置いた虫除けスプレーの空き缶の上に、右肩から落下したのだ。
 いっぺんに、目が覚めてしまった。
 ベッドの上へ寝袋を敷いた状態で眠っていた為、滑りやすくなっていたのだ。

 なんと言う不幸か!!
 お陰で、右手が完全に痺れてしまい、肩にもサロンパスを貼る始末。
 午前六時半ごろだった。
 起きるにはちょうど良い時間だが・・・・・手の痺れは、午後になっても回復しない。

       ??「トントン!」
       俺 「あいよ!」

 ドアを開けて顔を見せたのは、ここで雇われている少年だった。

       少年「グッド・モーニング!ブレック・ファーストはいりますか?」
       俺 「イエス!サンキュウ!」

 暫くして、少年がパン(トースト)とチャエを運んできた。
 ベッドの上で、痺れる手を少しずつ動かしながら、朝食を取るはめになってしまった。
 午前中はそのまま、ベッドの上でベースボール・マガジンを読んだり、美紀と長浜君の嫁さんに宛てて、礼状を書いたりしてすごす事になる。
 悪い事に今日は土曜日。

  12:00を過ぎたところで、外へ出て駅前の食堂で懲りているはずのカレーを食べる。
 当然、辛いから水をがぶ飲みする。
 どうやら、インドの水はなんとも無いようだ。
 それとも、食堂が一度沸騰させたお湯を冷やして、飲ませてくれているのかもしれない。
 直接生水を飲んだ事は、まだ一度もない。

  そのお陰かどうか、ここインドでもオレンジやレモン・バナナ・パパイヤと言った自然の冷たいジュースが、日本では考えられないほど美味い。
 日本で真夏、一仕事終えた後の生ビールをグイッ!と飲み乾す、あの快感がこのインドでの生ジュースであろうか。
 食事が終ってから、暫く街中をブラブラして、宿に戻りベッドにゴロリ。
 こちらの習慣に従って昼ねでもするか。

  午後五時昼寝から起き出す。
 身体がだるい。
 五時半、宿を出てコンノート広場へ向かう。
 コンノート広場の中心部には、大きな噴水があって、その周りには青々とした芝生が広がっていて、日本のような”立ち入り禁止”などと言う、立派な立て札は何処にも見つけることなどできない。

 広場では、たくさんの人たちが各々、自由な格好でねっころがったり、恋人同士話をしたり、子供達が走り回っている風景を見ることができる。
 暫く噴水を眺めて、”Embassy”と書かれたレストランに入る。
 内部は豪華絢爛そのもので、俺好みのレストランではないが、あの辛いカレーを思うとつい入ってしまった。
 ところがメニューを見てビックリ、食事らしい食事ができない。
 ラマダーンの月で、調理師が味見をできないのだ。

 仕方なく、バーガー・オムレツ・ジュースと言う軽食になってしまった。
 食事代、18.5Ru(630円)。
 あ~~~あ!俺はなんでわざわざ九月などと言う月にここを訪れたのか?!
 レストランを出ると、外はもう真っ暗。
 ゆっくり夜道を歩いて、宿に戻りシャワーを浴びて、ベッドにひっくり返った。

  とうとう、ニューデリーで、彼女からの手紙を受け取る事ができなかった。
 (実は後でわかったことだが、俺がニューデリーを出た後、彼女からの手紙が届いていた。後から来ていた仲間が持って来てくれて解かったのだ。)
 俺の旅が順調すぎるのか、早く移動しすぎるのか・・・この時は、受け取る事ができなかった。


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